スパイと言われた外交官―ハーバート・ノーマンの生涯

スパイと言われた外交官―ハーバート・ノーマンの生涯スパイと言われた外交官―ハーバート・ノーマンの生涯
工藤 美代子

筑摩書房 2007-03
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投身自殺をした、外交官の身に何が起こったのか。1957年4月、駐エジプト大使であったカナダ人の自殺は、世界を驚愕させた。なぜ自らの命を絶ったのか?やはり、ソ連のスパイだったのか?外交文書などの一次資料から浮かび上がる真実とは。

昭和維新の朝を読み、この著者を見直したのでこちらを読んだ。信州生まれで宣教師の家庭に育ち、カナダの外交官として終戦後すぐに来日。しかし、マッカーシズムのあおりを受けてソ連のスパイと指弾され、57年に赴任先のカイロで自殺してしまった。
来日時代には、カナダの外交官ながらマッカーサーの信任を得ていたらしい。そのせいで、GHQ内部のある種の嫉妬感の対象になり、それがマッカーシズムの対象となる遠因ともなったのではないかという記述は興味深かった。
5月に軽井沢へ行ったとき、ノーマンとライシャワーという展示をやっていたのを思い出した。