君たちはどう生きるか
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もともと旧制中学生向けなので内容自体は小学生でも全然わかる話で、だが時々考えさせられる部分もあり、身につまされるようなところもある。主人公は中学一年生で裕福な家庭に育ち、周囲との関わりを重ねて成長していくという平和な話である。
グロテスクな教養では、この題名の"君たち"という部分自体が実は一部の特権階級の男子のみを指しているのだという指摘をしていたが、それはまったくその通りであって、主人公の家庭も、友人達の家庭もほとんど実業家・将校・政治家の家庭で非常に恵まれた環境であり、いわゆる戦前の山の手族である。中学の同級生でひとりだけ下町の豆腐屋の息子がいて店の手伝いなどで学校を休んだりしていて、その豆腐屋を主人公が訪ねて初めてそのような下町の暮らし・自分たちとは縁のない暮らしがあることを知るという内容もある。また、その豆腐屋も実は息子を中学にやれるだけの資金があって、世の中には中学に行きたくても行けない子ども達が無数にいるのだということを主人公は学んだりする。そのような思考を経て、自分たちのような非常に恵まれた立場にいる人間がどのように生きていくべきなのかということを基本的に書いてある。
背景にそのような階層社会が存在していたのだということを思いつつ読めば、グロテスクの著者がいうほどいやったらしい本ではなく、むしろ良い本だと思う。意識付けとして。