国家の品格

国家の品格国家の品格
藤原 正彦

新潮社 2005-11
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"読んだら負けだと思う"と6seseくんは言っていたけど、俺もそう思っていた。しかしながら入手する機会があったので読んでしまった。
思っていたほどひどい内容でもなかったと思うのだが、それは中身の薄さを前提として読んだ場合であり、特にこれを読んで得るものはないと言わざるを得ない。市場原理・民主主義を否定し、かといって共産主義など論外であるという著者が提示するものが日本の伝統であり、情緒であり、武士道であるらしいのだが。要するにグローバリゼーション批判、パクス・アメリカーナ批判、伝統回帰論であって、別にこの著者独特のものではない。そして、品格ある国家には真のエリートが必要であるという理論も結局旧制高校への懐古趣味から脱していない。
もっとも、このような日本賛美論を読みやすい文章で、かつでかい文字で新書にして一時間で読める内容にまとめ、タイトルに"国家の品格"と仰々しく銘打てば、売れてしまうのが今の平成の世なのかもしれない。