戦争で死ぬ、ということ

戦争で死ぬ、ということ戦争で死ぬ、ということ
島本 慈子

岩波書店 2006-07
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題名のとおり、戦争で死ぬ、ということはどういうことなのかを綴った本。空襲されるとはどういうことなのか、フィリピンで敗走する日本軍はどういう状態であったのか、銃後の空気はどのようなものであったのかというようなことを書いてある。
ニューズウィーク日本版」12/27号に、『視点 日本が撮らない戦争の現実』という記事が掲載されていた。映画『硫黄島からの手紙』を評した記事だが、昨今の日本の映画にもふれられていた。『男たちの大和YAMATO』や『出口のない海』に対して、反戦映画を装っているものの底辺には戦争へのあこがれがあるオタク映画だという、辛口の批評がされていた。また同時に、昔の日本映画『野火』や『ビルマの竪琴』には戦争の現実が描かれていて、その差は結局のところ映画作成者の戦争体験の有無に帰着されるのであろうという内容が書かれていた。
この本が書いている内容とニューズウィークの記事は、底辺ではつながっているように思われる。どのように人は死んでいくのかという想像力が欠如したまま、戦争について語ることの危険性をこの本は訴えていると感じた。