北一輝論

北一輝論北一輝論
松本 健一

講談社 1996-02
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論文集なので一貫して読みやすいわけではないが、なかなか勉強になる。松本健一はここに収められている論文の大半を20代前半で書いている。すごい。現状の自分のことを考えると焦燥感を感じる。
最初に収められている論文で、ドストエフスキーニーチェ北一輝を、それぞれツァーリ、カイゼル、天皇が絶対君主として存在する社会での個人主義者として捉えているのが面白い。前者二人は、それぞれラスコリニコフツァラトゥストラを生み出したのだが、北一輝はそのような文学方面へのベクトルが向かずに現実世界での行動を行わざるを得なかったという分析で、非常に興味深かった。