ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み

ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み (中公新書)ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み (中公新書)
本田 良一

中央公論新社 2010-08
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現在、生活保護受給者は全国平均で八〇人に一人。雇用、教育、年金制度など社会のさまざまな矛盾が貧困の連鎖を生み、厳しさを増す地方財政がその困難な生活に拍車をかける。しかし今、生活保護こそを貧困から抜け出すステップにしようとの動きが生まれている。自立プログラムの「先進地」釧路など数多くの例を引きながら、経済偏重に陥らない、本来の自立とは何かを問い、貧困をなくすために何が必要かを探る。

去年の夏に出た新書。釧路市では、20人に1人が生活保護を受給しているという。その釧路の事例をメインに書かれている。
釧路市の自立支援プログラムというのが、今全国的にも注目を集めているとか。従来の自立とは、生活保護を受給しなくても済むよう、経済的な自立を指していたが、釧路市ではこれだけではなく、まず日常生活を支障なく送れるようにする自立から始め、社会への復帰、そして経済的な自立へと段階的な支援を行っているとか。具体的には、受給者に対してボランティア活動への参加を勧め、そこで生活リズムを取り戻し勤労意欲が湧いた受給者に対しては、資格の取得、就職支援などを行っていくというもの。
確かに経済的な自立だけではもう立ちゆかない面もあるのかもしれないが、しかし日常生活云々まで行政が口出しするのも考えものだと思ってしまう。