原発労働記

原発労働記 (講談社文庫)原発労働記 (講談社文庫)
堀江 邦夫

講談社 2011-05-13
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「これでは事故が起きないほうが不思議だ」。放射能を浴びながらテイケン(定期点検)に従事する下請け労働者たちの間では、このような会話がよく交わされていた―。美浜、福島第一、敦賀の三つの原子力発電所で、自ら下請けとなって働いた貴重な記録、『原発ジプシー』に加筆修正し27年ぶりに緊急復刊。

原発版「自動車絶望工場」。美浜原発、福島第一、敦賀でそれぞれ定期点検に従事した著者の体験記で昭和53〜54年にかけての半年間の記録。孫請けやひ孫受けの社員として従事しているのだが、その前近代的な雇用に驚いた。同じ仕事に同じように従事していても、所属している”親方”が違うと賃金も変わる。関西電力東京電力の社員との接点はほとんど無く、事故が起こっても「電力さんにばれる」として労災扱いにならない(ように下請け側で自己抑制してしまう)。著者自身も全治3週間の骨折をしたが、労災にはならなかったとか。
原発ジプシーに加筆修正とあるが、後書き読むと、同僚のことに触れた部分等は削除しているとも書いてあるので、加筆修正ではないのでは。