溺れるものと救われるもの

溺れるものと救われるもの (朝日選書)溺れるものと救われるもの (朝日選書)
プリーモ・レーヴィ 竹山博英

朝日新聞出版 2014-06-10
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アウシュヴィッツ生還から40年、レーヴィの自死の1年前に本書は刊行された。善と悪とに単純に二分できない「灰色の領域」、生還した者が抱える「恥辱」、人間が持つ最も恐ろしい悪魔的側面を描いた「無益な暴力」、アウシュヴィッツが風化することへの恐れを論じた「ステレオタイプ」…これらは実際に地獄を体験した者でなければ語れない。アウシュヴィッツは、生存者のその後の人生にもつきまとった。生き残ったものたちは、生きる喜びを奪われ、いわれのない罪の意識と戦い続けた。生還以来、その体験を証言し続けてきたレーヴィは何を思い、生きたのか?そして、地獄を生き抜いた者が、なぜ自ら死を選んだのか―?古典的名著、復刊。

アウシュヴィッツの実際の体験というよりは、そこから40年たつあいだに何を思い考えたのか書いた本。最後の章は、「アウシュヴィッツは終わらない」を読んだドイツ人読者との手紙のやりとりが紹介されているが、加害側がどうあるべきなのか、考えさせられる。