自決 こころの法廷

自決 こころの法廷自決 こころの法廷
澤地 久枝

日本放送出版協会 2001-07
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敗戦の夏、暁闇さらに深し。一家で自決を選んだ沖縄出身の陸軍大佐の足跡を辿り、戦闘で命を奪うだけでなく、こころを追い詰めてゆく戦争の残酷さを鮮やかに描き出す書き下ろしノンフィクション。

沖縄出身の親泊朝省大佐が、降伏調印の直前に妻子3人を道連れに自決するまでを書いたもの。大佐は、ガダルカナル島の生き残りで、その後大本営報道部で戦意発揚のための宣伝に従事した。
ガ島で地獄の底まで見てきた身で、戦意発揚のための記事を作成するのはどういう気持ちだったのだろうか。身近な親族には、「この戦争は負けだ」と漏らしていたとか。澤地久枝のノンフィクションらしく、参謀時代の当番兵を含め、周辺への丁寧な取材で徐々に解き明かしていく。自決直前には、米内海相暗殺をも示唆する文章を残していたことも発掘される。