革命家 孫文―革命いまだ成らず

革命家 孫文―革命いまだ成らず (中公新書)革命家 孫文―革命いまだ成らず (中公新書)
藤村 久雄

中央公論社 1994-04
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「革命いまだ成らず」を遺訓とし、1925年、孫文は革命に捧げた波乱の生涯を終え、完成を民衆に託した。辛亥革命清朝を倒し専制政治に終止府を打ったが、中華民国は反動的な袁世凱に奪われ、その後は軍閥混戦が続いた。孫文は共和制の定着のため軍閥と戦い、真の自由と平等を獲得した民主国家の建設を目ざした。本書は孫文の革命運動や彼の新生中国の建設計画を考察し、生涯を追ってこの偉人の実像に迫ろうとするものである。

孫文についてと、その同時代史について書かれている。孫文は、地方自治の単位として「県」(日本でいう郡)を念頭に置き、各県内で自治を行い、また県から1人代表を出して、国民会議を形成することを考えていた。もっとも、現実には「県」の下に郷があり、そこでは地主が依然としてすべて牛耳っていたわけで、その解決策を提示できなかったのが孫文の思想の至らなかったところなんだとか。
しかし、まだ清朝の時代に共和制を目標として、それ一筋に生きたのだからものすごい意志の力だと思う。