アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ

アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬアウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ
小林 公二

講談社 2015-05-27
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ヒトラーに戦いを挑み、スターリンに反旗を翻し、最期は祖国に命を奪われる。「死の淵」へ948日間潜入し、かつ脱走を果たした兵士が見た、『夜と霧』も描けなかった殺戮の真実。絶滅収容所解放から70年。歴史から40年抹殺された男の生涯。

朝日の読書欄で読んで、その存在を初めて知った。副題が意味不明だが、アウシュビッツワルシャワ蜂起、そして戦後の社会主義体制への抵抗を指しているようだ。
アウシュヴィッツというと、ひたすら抑圧されているイメージしかないが、そのような中でも抵抗組織を作りあげ、外部と連絡をとり、最後は脱出をしているピレツキ大尉の行動力には驚嘆するしかない。しかも自らわざと収容されている。そのような人物が、最後は自国の秘密警察に捕まり、拷問を受けて見せしめ裁判で処刑されるのはあまりに不条理だとも思う。ポーランドの戦後を扱っている「灰とダイヤモンド」を思い出した。
題材はきわめて興味深いのだが、例えばドイツのポーランド侵攻でマーダー2型が使われただとか、自動小銃を機関銃となぜか言い換えていたりだとか、変なところが目に付いてしまう。著者というよりも、編集や校正側の問題な気がする。