孤高の人

孤高の人〈上〉 (新潮文庫)孤高の人〈上〉 (新潮文庫)
新田 次郎

新潮社 1973-03-01
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昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎"。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。

登山の描写、文太郎の職場を中心とした神戸の描写が交代に書かれている。最後の遭難する下りは寒さを感じさせて鳥肌が立つ。著者の山岳小説の中でも白眉だと思う。