戦争と平和〈4〉

戦争と平和〈4〉 (岩波文庫)戦争と平和〈4〉 (岩波文庫)
トルストイ 藤沼 貴

岩波書店 2006-05-16
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不吉な彗星の年。軍務に戻ったアンドレイは父と妹に敵接近を急報するが、退避目前に老公爵は死去、マリアは領地農民の反抗に遭う。戦争の本質を探ろうとピエールはボロジノへ発つ。いまや貴族も農民もなく、全ロシアの危機が始まろうとしていた。

以前読みかけたときは、この巻の冒頭のトルストイが書く歴史論のところで頓挫した記憶がある。今読み返してみると、たいしたことを言ってるわけではなく、別に頓挫することもなかった。ただこれを19世紀の時点で書けたのがさすがトルストイということなのかもしれない。いわゆる英雄史観を激しく排撃しており、あらかじめ定められた歴史の流れがあり、英雄一人の行動ではなく、民衆の行動がそれを形作るというのが要旨。