最近のもの

「スパイ…」は北欧ミステリー。主人公が途中であっさり死んでしまうなど意外性が多い。最後が帳尻あわせ的に早足になるのが変だった。ブリュッセルのEU本部周辺の様子は、一国の首都とはまた違う雰囲気があるようで興味深かった。
「ビブリア」は最終巻で、6巻までは古本で買っていたがとうとう新刊で買ってしまった。シェイクスピアのオリジナル本が題材になっていて興味深い。
大岡昇平歴史小説集成」は、将門記が入っているので即買いしたが、そのほかの幕末ものも良かった。大島圭介についての作品の中で著者の比島山中での敗軍行の経験が語られていてぞくっとする。
「征東都督府」は、SFはふだん読まないが、戊辰戦争で幕軍側が勝った世界を描いているということで興味を持って読んだ。歴史改編をもくろむ者が、江戸初期に武蔵野に大きな湖を人為的に作ったために、戊辰戦争の道行きが変わったということなのだと思うが、よく因果関係が分からないまま最後は駆け足で終わってしまった。
「トランプ王国」は、アパラチア山脈付近のトランプ支持者が多くいる地域に、大統領選の前から通って取材していた著者がまとめたもの。ずっと民主党支持だった人たちが、今回ばかりはとトランプに流れていく様子がリアル。そういう人たちは4年後どのような判断をするのだろうか。
「文庫解説…」は、岩波の「図書」に連載されていたものがまとめられている。著者の文体は好みが分かれるだろう。内容はなるほどと思うものもあるが、文体で損をしている。