20世紀の自画像

20世紀の自画像20世紀の自画像
加藤 周一

筑摩書房 2005-09-05
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二〇世紀は日本にとって、アジアで最初の近代国家となりながら、そのアジア全域を巻き込んだ戦争を引き起こし、二度の原爆投下と未曾有の敗戦を体験すると同時に、近年では奇跡的な高度経済成長に続いてバブル崩壊とその後の十年を超える長期不況に直面するという、実にめまぐるしい百年間でもあった。空前の豊かさと膨大な人的犠牲という強烈なコントラストに彩られたこの世紀は、その時代を体験した人間にどのように映ったのだろうか。優れた文明批評家として知られる著者が、この百年を再考し、新たな混沌が予感される現代を診断する。

著者は加藤周一となっているが、実質的には成田龍一(これを読むまでこの人のことまったく知らなかった)の作品。第一部は両者の対談、第二部は成田氏が加藤周一の著作について書いてる文章。販売戦略上の都合なのかもしれないが、せめて共著にすればいいのにと思う。また、実質的に自分の著書でない本を、ぬけぬけと自分の名前で出してしまうことに大きな違和感。
第二部は分かりやすくまとめられていて、加藤周一作品をあまり読んだことがない自分でも全体的な流れがのみこめた。日本文学史序説をそのうち読んでみようと思う。