金閣炎上

金閣炎上金閣炎上
水上 勉

新潮社 1986-02
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天を焦がす金色の焔に、彼は何を見たのか? 身も心もぼろぼろになって死んだ金閣放火僧の痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。

長編小説と紹介文にはあるが、ルポといったほうがいいと思う。
著者自身も幼少時に寺で小僧として過ごした経験があるので、林養賢に対して同情的とも言える書き方。拝観料を糧とする、世俗的な金閣寺に対する反感が感じられるし、著者自身もそういう思いがあったからこそ還俗したのだろう。同じ若狭湾を囲む孤村の生まれだという親近感もあるのだと思う。
三島「金閣寺」はあくまでもこの事件をモチーフにした小説なので、事実関係を知りたい場合にはこちらの金閣炎上が良いです。