政党政治と天皇 日本の歴史22

政党政治と天皇 日本の歴史22 政党政治と天皇 日本の歴史22
伊藤 之雄

講談社 2010-04-12
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張作霖爆殺事件後、昭和天皇はなぜ田中義一首相を問責したか―。東アジアをめぐる国際環境のうねりのなか、変容していく近代日本の君主制。「天皇の政治関与」の理想と危うさとは。のびやかな大正時代が閉塞の昭和を迎える過程で、庶民は何を感じ、どう行動したか。明治天皇崩御から五・一五事件による政党政治の崩壊までを、斬新な視角で活写する。

明治天皇崩御から五・一五事件まで。改めて”天皇”に注目しているのが興味深い。政治への介入を最小限とし、調停者としての役割を果たした明治天皇、存在が薄い大正天皇、そして、即位前から摂政として政治に触れていたが、政治との距離がなかなかつかめない昭和天皇という色分けが面白かった。著者の、昭和天皇についての評価はかなり低い。明治天皇のイメージに支配され、田中首相を問責して辞任へ追い込むという、過度の介入をすることもあれば、朝鮮軍の越境などの肝心なところでは距離を置きすぎ、調停者としての役目を果たすことができなかったという評価はなかなか辛辣。