明治六年政変

明治六年政変 (中公新書)明治六年政変 (中公新書)
毛利 敏彦

中央公論新社 1980-01
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明治六年十二月、西郷隆盛は、板垣退助ら四参議とともに、自らの手でつくった政府を去った。西郷はなぜ野に下ったのか。征韓論に敗れたからという。また不平士族の棟梁として殉じたのだともいう。当時の内政外交の激動の過程を先入見を去って正確にたどってみると、驚くべき事実が浮かび上がってくる。・・西郷は、日本への法治主義導入をめぐる深刻な政争の犠牲者だった。・征韓論・政変の名の下に隠されていた事件の真相に迫る。

明治六年に西郷や板垣、江藤新平が下野したときの政変を題材にしている。征韓論を主張した西郷が内政重視の大久保に負け、野に下ったというイメージがあったが、この本によればそれは違うのだという。
そもそもこの政変は征韓論だけではなく、当時の司法省問題が大きくからんでいるとか。当時、司法卿だった江藤新平法治国家の確立、三権分立を主張し、民事裁判権を大蔵省から司法省に奪還しようとしていた。同時に、当時の長州閥が絡んでいた数々の汚職疑惑を追求したため、江藤を煙たがる向きが多かったとか。
昔の本だが今読んでも十分に面白かった。