黒船前後・志士と経済 他十六篇

黒船前後・志士と経済 他十六篇 (岩波文庫)黒船前後・志士と経済 他十六篇 (岩波文庫)
服部 之総

岩波書店 1981-07-16
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明治維新史研究で知られる著者(1901‐56)の歴史随想集。名篇「黒船前後」以下、幕末から明治へ至る激動の時代をめぐるエッセイを精選した。その広い視野と自由な発想、ユニークな視点は、洒脱な語り口と相まって、読者に歴史の面白さを十二分に満喫させてくれるとともに、歴史は史料でなく着想から始まることを教えてくれるだろう。

汽船と帆船についてのエッセイが面白かった。汽船が発明された後も、経済性の面では圧倒的に帆船が有利な時代が長く続き、汽船が帆船を追い抜いたのは幾多の技術革新があってからだったとか。しかし、日本はいきなり後期汽船を導入し、いいとこどりが出来たとか。
あと、カタカナ英語ならぬ英語風日本語を書いた「moods cashy」というエッセイが面白い。初期の横浜などで、英語圏人向けに読まれた日本語の紹介。moods cashyで”難しい”という発音を表すらしい。