断絶の都市センダイ ブラック国家・日本の縮図

断絶の都市センダイ ブラック国家・日本の縮図断絶の都市センダイ ブラック国家・日本の縮図
今野晴貴

朝日新聞出版 2014-05-20
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支援という名の偽善ビジネス、分断されたコミュニティ、都市型の貧困と孤独。仙台を辿れば、この国の絶望が見えてくる。大佛次郎論壇賞受賞『ブラック企業』の著者が、「誰にも語られなかった被災地」をえがく衝撃のルポ。

震災当時、内陸とはいえ宮城にいた人間としては手を取らざるを得ない。
ブラック企業の問題提起で知られる著者が、仙台市の現状を描くルポ。仙台POSSEで支援に携わる人たちが各章を分担して書いている。
日本は福祉国家ではなく開発主義国家だったというのは言い得て妙。また、復興予算についての問題提起や、民間がビジネスとして復興に携わる際の問題点は賛同する。そして、自分たちもまた一民間主体でしかないため、常に自覚しながらやらなければならないというのもその通り。ただ、序章で著者が言う「現場→検討→政策提言」のプロセスのうち、本書はまだ政策提言まで至っていない。一律の福祉を行うべきという主張なのだと思うが、どれだけリアリティがあるのか。また、冒頭で前回の自宅→仮設住宅→応急復興住宅へと移転した被災者について、応急復興住宅に移動したら透析のための通院が困難になったとあるが、それは、自分たちPOSSEの送迎支援が仮設住宅を対象にしていて応急復興住宅は対象外だから。それを「排除」というなら、まず自分たちがそれを実現すれば良いのでは?と思ってしまう。
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