幕末から維新へ〈シリーズ 日本近世史 5〉

幕末から維新へ〈シリーズ 日本近世史 5〉 (岩波新書)幕末から維新へ〈シリーズ 日本近世史 5〉 (岩波新書)
藤田 覚

岩波書店 2015-05-21
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田沼意次政権の瓦解後、全国的に広がる一揆・打ちこわしの暴発と大飢饉に直面し、危機に陥る幕府。老中となった松平定信は果敢に寛政改革に取り組むが、同じ頃、日本近海にはすでに欧米諸国の船が迫り──。明治維新へ向かう激しい時代の動きと、その中でしたたかに生き抜く民衆の姿を生き生きと描く、好評のシリーズ最終巻。

岩波新書のシリーズの最終巻。このシリーズは、1、3、5巻で江戸時代の歴史を経年でたどり、2、4巻はテーマを設けて(村と都市)論ずるという構成になっていて、バランスが良い。
この最終巻も、18世紀末から維新までの流れをまとめつつ、ところどころに民衆の動きなど紹介されていて面白い。特に、後半のペリー来航から維新に至るまでは、孝明天皇の視点から簡単にまとめられていて、ためになるしあらためて整理できた。この部分だけでも一読に値する。ただ、著者の後書きによれば、この部分は著者独自の見解はいれずに、先達の研究結果等をまとめた部分だとか。その部分が一番わかりやすいというのがある意味皮肉である。