ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国

ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書)ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書)
田中 克彦

岩波書店 2009-06-19
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一九三九年のノモンハン戦争は、かいらい国家満洲国とモンゴル人民共和国の国境をめぐる悲惨な戦闘の後、双方それぞれに二万人の犠牲をはらって終結した。誰のため、何のために?第二次大戦後、満洲国は消滅して中国東北部となり、モンゴルはソ連の崩壊とともに独立をまっとうした。現在につながる民族と国家の問題に迫った最新の研究。

6年前の新書だが、内モンゴル関連の本を読んだ後に再読すると、当時読んだときとはまた違った感想を持つ。こちらはモンゴル人民共和国側の歴史に焦点をあてて、ノモンハン事件までどのように経緯していったのかたどっている。著者は「草原の革命家たち」という中公新書も出しており、近代モンゴルへの造詣が深い。
モンゴルは独立国とはいうものの、事実上ソ連に支配されており、意に沿わないものは首相でもモスクワに召喚して粛正するその様子は恐ろしい。国境紛争の解決のため、数年にわたって満州里でモンゴルと満州国との間で会議が開催されているが、初回のモンゴル代表が、その次にはすげ替えられている。
当時のモンゴルは人口70万人あまりの小国で、ソ連での大粛正と期を同じくして、ノモンハン事件前後に2万人以上が処刑されたんだとか。ソ連のNKVDのような組織がモンゴルにあったのかしらないが、人口に比してもあまりに高い割合に驚く。