興亡の世界史 大日本・満州帝国の遺産

興亡の世界史 大日本・満州帝国の遺産 (講談社学術文庫)興亡の世界史 大日本・満州帝国の遺産 (講談社学術文庫)
姜 尚中 玄 武岩

講談社 2016-06-11
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王道楽土、五族協和を謳い建国十余年で消滅した帝国・満州革新官僚としてその産業開発に辣腕を振るい、戦後はA級戦犯容疑者から首相の座に登り詰め高度成長を発進させた岸信介と、その満州で帝国軍人として戦時を生き、解放後に韓国大統領となって近代化を達成した朴正煕。戦後の日韓両国の枠組みをつくった二人の足跡から満州国の虚実を問う。

興亡の世界史が、学術文庫で文庫化され始めた。本書は2010年が単行本版だから、6年しかたたずに文庫化したことになる。ここで扱っている朴正煕と岸信介の子、孫が両国のトップにいるうちに出したかったのかもしれない。
満州国で試行された統制経済が、戦後日本と韓国の経済発展の方式によくつながっているという論。特に韓国についての言及が多い。60年代、70年代の開発独裁はまさに満州国のやり方に近いとか。