戦艦武蔵 - 忘れられた巨艦の航跡

戦艦武蔵 - 忘れられた巨艦の航跡 (中公新書)戦艦武蔵 - 忘れられた巨艦の航跡 (中公新書)
一ノ瀬 俊也

中央公論新社 2016-07-20
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二〇一五年、戦艦武蔵がフィリピン沖海底で発見され、世界の注目を集めた。だが、太平洋戦争中の一九四二年に完成し、四四年のレイテ沖海戦で撃沈された武蔵は、敗戦後、長きにわたり半ば忘れられた存在だった。姉妹艦の大和が一貫して脚光を浴び、戦記や映画、アニメなどで繰り返し描かれたのとは対照的である。両者の差はどこから生まれたのか。建造から沈没までの軌跡を追い、さらには戦後日本の戦争観の変遷をたどる。

この種の本としては珍しく、戦時中のことよりも、戦後武蔵がどのように取り扱われてきたのかに多くの紙幅をさいている。大和と武蔵を明と暗で対比させるのはあまりに乱暴だと思うが、多くの戦後の言説を紹介している点は評価すべきだと思う。