最近のもの
- 三野正洋「連合軍の小失敗の研究 第二次大戦の勝者に見る失錯の本質」光人社NF文庫
- 渡辺洋二「彗星夜襲隊 特攻拒否の異色集団」光人社NF文庫
- エヴァ・バロンスキー「マグノリアの眠り」(松永美穂 訳)
- 天野郁夫「帝国大学 近代日本のエリート育成装置」中公新書
- 岡本隆司「袁世凱 現代中国の出発」岩波新書
- 若杉冽「原発ホワイトアウト」講談社文庫
「連合軍…」は、日本軍、ドイツ軍に続く著作。イギリスの航空機の性能がたいしたことなかったとか、戦車づくりに迷走していたとか、ソ連の艦隊がもっと働くべきだったとかそういう話が続く。
「彗星夜襲隊」は天号作戦に特攻ではなく通常戦法で対応した飛行隊の話。司令官の美濃田少佐は当時29歳。4月から8月の終戦までの間、身を削る思いで日々を過ごしていたのだろう。
「マグノリアの眠り」は、ドイツの高齢女性をロシア人の若い女性が出稼ぎ介護にくるところから始まる。ドイツの女性は終戦前後のベルリンでの経験からロシア兵に対するトラウマを抱いていて、介護者がロシア語で話しだすまでは友好的だった関係性がいっぺんに崩壊する。そこからまた2人が徐々に関係性をつないでいく様子が丁寧に書かれている。
「帝国大学」は、帝国大学だけではなく旧制高等学校についても多くかかれている。新制大学への移行の過程がおもしろい。
「袁世凱」は悪いイメージしかないが、改めてその生涯を追ってみようというもの。当時の進歩的な役人だったが、その枠を超えられなかった。
「原発ホワイトアウト」は、東電の様子や役所内のやりとりなどリアリティがあるが、最後の原発事故は、北朝鮮の工作員が送電線を倒すという意味不明な設定で、台無し。